日本経済新聞2017年(平成29年)8月15日(火曜日)掲載記事より
段ボール製造の大成段ボール(香川県東かがわ市)は軽くて木材に近い強度がある紙素材「リボード」の加工・販売に乗り出す。直角や曲線など様々な形に加工しやすい機能性を生かし、家具や看板などに応用する。金属や木材を使う製品の代替素材として成長が見込めると判断し、新たな事業の柱にする。
リボードはボード型の紙素材でスウェーデン発祥。四国の企業による取り扱いは初めてという。一般的な段ボールと同じ紙を使うが、蜂の巣状の「ハニカム構造」で強度が高く、軽いのが特徴だ。リサイクルできるうえ、火が燃え広がらない防炎機能も持つ。
1平方メートルあたり1トンの荷重に耐えられ、重さは木材の5分の1ほど。厚さは5、8、16ミリメートルの3タイプを用意した。
大成段ボールはリボードをスウェーデンの企業から調達し、顧客の注文をもとに設計から組み立てまでを手掛けて販売する。裁断やデザイン加工のため、専用のカッティングマシンとデジタル印刷機を導入した。曲線にカットしたり、直角に曲げたり様々な形にでき、カラー印刷もできる。
リボードの用途は看板や店頭販促(POP)広告のほか、家具や陳列棚、簡易ベッドなど幅広い。放送会社のスタジオや舞台などで使う美術道具にも応用できる。木材や金属、樹脂に比べ軽量で扱いやすく代替需要を見込む。
企画・提案力を高めるため、6月にはデザインや設計を手掛ける専属チームを設けた。今後、東京の展示会などに出展し認知度を高める。
主力の段ボール事業は通販の増加で市場は若干拡大しているが、価格競争になりやすい面がある。オーダーメードのリボードは企画力次第で付加価値を高められるうえ、段ボール事業とは異なる市場を開拓できるメリットもある。まずは3年後に1億円の売上高を目指す。
大成段ボール 1962年の設立で本社は香川県東かがわ市。段ボール製品・製造のほか、梱包資材の販売、太陽光発電システムの施工なども手掛ける。2017年5月期の売上高は約11億円。太陽光発電などが伸び悩む中、リボードを新たな成長事業として育てる。
-日本経済新聞 2017年(平成29年)8月15日(火曜日)掲載記事より-